地域の行事で講師や協力者に「謝礼」を渡すとき、金額ほど迷うものはありません。
「多すぎても気をつかわせるし、少なすぎても失礼かも…」と感じたことがある人も多いでしょう。
実際、自治会では「去年どうしてた?」「うちは寸志でいい?」など、地区ごとに感覚が違うのが現実です。
明確な正解がないからこそ、“ちょうどいい金額”をどう見つけるかが大切になります。
この記事では、自治会や地域行事で渡す「謝礼」「寸志」「お心付け」などの金額相場の目安を整理し、講師・出演者・ボランティアなどの立場別に無理のない範囲で気持ちを伝える考え方を紹介します。
自治会での「謝礼」とは?最低限の整理
「謝礼」は、講師や協力者などに感謝の気持ちとして渡すお金を指します。
似た言葉に「寸志」や「お心付け」もありますが、用途や立場によって使い分けられるのが一般的です。
ただし、現場では明確に区別せず「感謝を形にしたもの」として扱われることも多く、封筒の表書きや金額も地域によって違います。
「謝礼」「寸志」「お心付け」「御花」の違いは、以下の記事で詳しく解説しています。
参考 自治会・地域行事のお金マナー完全ガイド(準備中)
謝礼・寸志の金額相場(目的別一覧)
地域行事で渡す謝礼は、「相手の立場」や「関わり方」で大きく変わります。
ここでは、実際の自治会でよく使われる目安を一覧で整理しました。
| 区分 | 具体例 | 相場の目安 | 判断のポイント | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 講師・指導者 | 体操教室、防災講話、健康講座など | 3,000円〜10,000円前後 | 内容の専門性と拘束時間で調整。公的依頼なら1万円前後が多い。 | 無料講師(地域の専門職など)には寸志3,000円程度でも可。 |
| 出演者・演者 | 太鼓・舞踊・子ども会の出し物など | 2,000円〜5,000円前後 | グループ出演なら団体単位でまとめて渡すことも。 | 子ども主体ならお菓子+寸志程度でもOK。 |
| ボランティア・手伝い | 会場設営、受付、交通整理など | 1,000円〜3,000円前後 | 実費や昼食代を兼ねる場合も多い。 | 慰労会や弁当支給で代えるケースも多い。 |
| 地域協力者・提供者 | 会場提供、写真撮影、機材貸与など | 2,000円〜5,000円前後 | 「助かった」という感謝を伝える意識で。 | 継続的に協力してもらう場合は、年単位でまとめて渡すのも◎。 |
「御花」のように祭りや行事で包むお金は性質が異なります。
※相場や地域差については以下の記事で詳しく解説しています。
金額の決め方と考え方(地域差・予算感)
謝礼の金額には「全国共通の正解」はありません。
同じ内容の行事でも、地域の物価感や予算規模によって差が出るのが自然です。
地域差の考え方
たとえば、都市部と地方では「3,000円」の感覚がまったく違います。
また、高齢者の多い地区では「無理のない範囲で」という配慮が優先されることも多いです。
“相手に負担をかけない金額”こそが、その地域に合った相場だと考えてください。
予算から逆算する
全体予算を見て、まず「行事運営費」と「謝礼費」を分けましょう。
そのうえで、講師や協力者の数に応じて一人あたりの目安を逆算するのが基本です。
「余裕があれば少し上乗せ」「厳しければ寸志程度で」でも問題ありません。
1人に渡す金額よりも、「全体でバランスが取れているか」が重要です。
前例は“参考”にとどめる
「去年と同じでいいや」となりがちですが、前年の金額をそのまま使うと、予算や物価が変わっても見直せません。
“前例は基準、今年の状況で判断”という姿勢を持っておくと、柔軟に対応できます。
封筒や表書きのマナーは、金額よりも「気持ちを見せる部分」です。
※詳しくは以下の記事を参考にしてください。
金額を決めるときの実務ポイント
謝礼は“気持ち”とはいえ、自治会のお金を使う以上は会計処理との整合性が大切です。
ここでは、役員が確認しておきたい実務上のポイントをまとめます。
会計帳簿の科目整理
「謝礼」は、帳簿上では「謝礼費」または「報償費」として扱うのが一般的です。
ただし、イベント全体の中で消耗品費や運営費に含めて記録するケースもあります。
領収書の有無や金額に応じて、処理方法を統一しておくと混乱しません。
金額が1,000円程度なら「寸志」扱いでもOK。
ただし、複数人に渡す場合は「まとめ払いの記録」を残すようにしましょう。
領収書・受領書の扱い
講師や外部団体に謝礼を渡す場合、受け取り側から領収書をもらうのが原則です。
ただし、ボランティアや地域住民への寸志などでは、受領書を自作してサインをもらう形でも構いません。
領収書・受領書の書き方やフォーマットは以下の記事で配布しています。
👉 自治会で使える領収書テンプレート集(準備中)
前例・記録を残す
謝礼金額は“慣例”として引き継がれることが多い項目です。
翌年の役員が迷わないよう、「行事名・渡した相手・金額」を記録に残しておくと安心です。
書式を統一しておくと、年度ごとの比較がしやすくなります。
👉 会計記録用テンプレートはこちら(準備中)
まとめ
謝礼は「いくら渡したか」よりも、“どう渡したか”で印象が決まります。
封筒の種類や表書き、添えるひとことなど、細やかな部分に気持ちが表れます。
封筒・表書きで丁寧さを伝える
封筒は白無地または紅白蝶結びののし袋を選ぶのが一般的です。
表書きは「謝礼」または「寸志」と書けば失礼はありません。
ただし、地域の慣習によっては「お礼」「お心付け」を使う場合もあります。
封筒選びに迷ったら、
封筒の選び方を紹介しているこちらの記事を参考にしてください。
言葉を添えると印象が変わる
封筒を手渡すときに、
「今日は本当に助かりました」「お忙しい中ありがとうございます」
といったひとことを添えるだけで、受け取る側の印象は大きく変わります。
金額よりも“気持ちをどう見せるか”を意識することで、形式にとらわれない、あたたかいやりとりが生まれます。

