封筒の裏に金額を書くとき、
「中央下」や「左下寄り」といった指示を見て、
「そもそも中包と中袋って違うの?」と感じたことはありませんか。
実はこの2つ、見た目は似ていますが構造と使う場面がまったく違うものです。
この記事では、のし袋の中に入れる「中包(なかづつみ)」と「中袋(なかぶくろ)」の違いを整理し、書く位置の根拠をわかりやすくまとめます。
封筒マナーの基礎として押さえておくと、どの袋を使っても自然に書き方を判断できるようになります。
中包(なかづつみ)とは?
中包とは、奉書紙(ほうしょがみ)や半紙を折って作る伝統的な包みのことです。
封筒のように糊付けされたものではなく、一枚の紙でお金を包む「和式タイプ」になります。
表面には金額(例:金五千円)を中央に書き、裏面には住所と氏名を左下寄りに書くのが正式な形です。
これは、ご祝儀でも香典でも共通の基本になります。


また、中包の折り方には慶事と弔事で方向の違いがあります。
中包みの書き方と包み方|熨斗つくーる
慶事では「上側の折り返しが上にくる」ように折り、
弔事では「下側の折り返しが上にくる」ようにします。
これは「喜びは上向きに」「悲しみは下向きに」という意味が込められた、古くからの作法です。
中包は、主に香典・御霊前・結婚式などの儀礼的な包みに使われます。
紙の質感や折り方に意味があり、フォーマルな場で礼を尽くす際に適した形式といえます。
略式の場よりも、「きちんとした印象を伝えたい」場合に選ばれることが多いです。
中袋(なかぶくろ)とは?
中袋とは、のりしろ付きの封筒型の内袋のことです。
祝儀袋や香典袋の中に入っていることが多く、実務的で扱いやすい形になります。
基本的な書き方は中包と同じで、表面に金額、裏面に住所と氏名を書きます。
ただし、市販の中袋には裏面に「金額・住所・氏名欄」が印刷されているタイプもあり、その場合は指示に従って裏面に金額を書くのが自然です。
裏面には段差(のりしろ)があるため、
住所や名前は左下寄りに縦書きでまとめると整って見えるのがポイントです。


中袋は、謝礼・寸志・お心付けなどの一般的な包みに多く使われます。
形式ばりすぎず、印刷済み欄を使うことで誰でもきれいに仕上げられる実務的な形式です。
中包と中袋の違い早見表
| 項目 | 中包(なかづつみ) | 中袋(なかぶくろ) |
|---|---|---|
| 形状 | 奉書紙を折った包み | のりしろ付き封筒 |
| 書く位置 | 表=金額/裏=住所・氏名 | 表=金額(印字欄付きは裏)/裏=住所・氏名 |
| 段差 | なし | あり(のりしろ部分) |
| 主な用途 | 慶弔・正式な金封 | 謝礼・寸志など一般用途 |
| 金額記入例 | 金壱万円(中央) | 金壱万円(中央または裏欄) |


どちらもお金を包む目的は同じですが、構造によって自然な書き方が異なります。
儀礼的な場面では中包、地域行事や実務的なやり取りでは中袋を選ぶと自然です。
どちらを使えばいい?用途の目安
中包と中袋は、場のフォーマル度や相手との関係性によって選びます。
「丁寧に渡したい」か「実務的にまとめたい」かを基準に考えると分かりやすいです。
| 用途の場面 | 使う形式の目安 | 解説 |
|---|---|---|
| 葬儀・法要・結婚式など | 中包(奉書紙タイプ) | 儀礼的な場にふさわしい正式な形式。紙質と折り方に意味があります。 |
| 自治会の行事・講師への謝礼・ボランティアなど | 中袋(封筒タイプ) | 実務的で扱いやすく、略式でも失礼になりにくい。 |
| お見舞金・お心付けなど | 中袋(封筒タイプ) | 気持ちを添える包みとして自然。 |
迷ったときは「どこまで形式を求められる場か」で判断すると良いです。
地域行事なら中袋、慶弔儀礼なら中包という選び方が自然です。
参考詳しい場面別の選び方や封筒マナーについては、
以下の記事で実例を交えて紹介しています。
まとめ
中包と中袋の違いは、形だけでなく書く位置のルールにも関わります。
どちらも「表に金額、裏に住所と氏名」が基本ですが、中袋の場合は印字欄に従うこともあり、形式に合わせて柔軟に考えるのが自然です。
- 中包…奉書紙を折る正式タイプ。金額は表、住所・氏名は裏に書く。
- 中袋…封筒型の略式タイプ。基本は表に金額、裏に住所・氏名(欄がある場合は裏に金額)。
- 迷ったら「用途と相手」で判断する。
封筒の裏に金額を書くケース(中袋なし封筒)については、
「封筒の裏書きマナー早見表」で位置と書き方を図解しています。
お金の包み方全体を整理したい場合は、
「自治会・地域行事のお金マナー完全ガイド」も参考にしてください。




