地域の行事でよく耳にする「協賛金」と「寄付金」。
どちらもありがたい支援ですが、実は意味も扱い方も違います。
たとえば、お祭りで商店から「広告を出す代わりに協賛する」と言われた場合と、「何もいらないから応援として寄付したい」と申し出があった場合では、会計上の分類も、お礼の仕方も変わってきます。
この記事では、自治会や地域行事で混同されやすい「協賛金」と「寄付金」の違いを、目的・性質・会計処理の観点から整理します。
どちらで受け取るのが正しいのか迷ったときの判断基準としてお役立てください。
協賛金とは?|宣伝や応援の意味を含む支援金
「協賛金」とは、企業や商店などがイベントや活動の趣旨に賛同し、応援の気持ちを込めて支援するお金のことです。
特徴的なのは、単なる寄付ではなく、広告や名前の掲載など“見返り”がある点です。
たとえば、秋祭りのポスターやパンフレットに店名を載せたり、当日の会場で協賛店舗として掲示したりするケースがよくあります。
そのため、実務的には「宣伝協力」として扱われることが多く、会計上は「収入(広告料など)」として処理される場合もあります。
協賛金は「支援+広告」という性質をもつため、お礼は“感謝の表明”に加えて“掲載・掲示”など形で返すのが基本です。
寄付金とは?|見返りを求めない純粋な支援金
「寄付金」は、企業や個人が見返りを求めずに善意で差し出すお金のことです。
協賛金のように広告や掲示といった特典はなく、「地域のために役立ててください」という純粋な支援の気持ちが中心です。
自治会では、祭りの運営費や防災備品の購入などに充てられることが多く、封筒には「寄付金」や「ご寄付」と書くのが一般的です。
お礼は、掲示や広告ではなく「お礼状」や「会報での感謝掲載」といった形がふさわしいでしょう。
寄付金は“対価のない支援”です。
そのため会計処理では「寄付金収入」として協賛金とは別に管理しておくことが大切です。
協賛金と寄付金の違い早見表
どちらも「支援金」ではありますが、目的や扱い方には明確な違いがあります。
混同しやすいポイントを下の表で整理しました。
| 比較項目 | 協賛金 | 寄付金 |
|---|---|---|
| 目的 | イベント・活動への賛同+宣伝効果 | 純粋な支援・善意による援助 |
| 主な相手 | 企業・商店・団体など | 個人・企業・団体など幅広い |
| 見返りの有無 | あり(広告掲載・掲示など) | なし(感謝状やお礼状のみ) |
| お礼の方法 | 名前掲載、ポスター掲示、イベント紹介など | お礼状、会報への掲載など |
| 会計上の扱い | 収入(広告料・協賛金収入など) | 寄付金収入として別管理 |
| 税務上の扱い | 広告料として課税対象になる場合も | 原則非課税(※受取側の性格による) |
協賛金は“宣伝を含む支援”、寄付金は“純粋な支援”。
この違いを押さえることで、会計処理やお礼の仕方が自然に決まります。
実際の地域行事での使い分け方
実際の自治会活動では、「協賛金」と「寄付金」が同時に集まることも珍しくありません。
そこで、主な行事別にどう区別して扱うかを見てみましょう。
| 行事例 | 協賛金として扱うケース | 寄付金として扱うケース |
|---|---|---|
| 秋祭り・盆踊り | 商店や企業からの支援で、ポスターや看板に名前を掲載する | 住民や個人が「少しでも役立てて」と善意で包む |
| 防災訓練・清掃活動 | 賛同企業が物品提供や支援金を出す(例:飲料提供) | 地域住民が自発的にカンパする |
| 敬老会・文化祭 | 協賛企業として案内資料に掲載 | 個人やOBが「応援の気持ち」で寄付 |
- 見返り(広告・掲載)がある=「協賛金」
- 見返りがない純粋な支援=「寄付金」
と覚えておくと整理しやすいです。
また、「御花(おはな)」のように地域特有の呼び方をする場合もあります。
その場合は、「寄付金に近い性質」として扱うのが自然です。
※詳しくは以下の記事で紹介しています。
まとめ|“支援への感謝”と“正しい扱い”を両立する
「協賛金」と「寄付金」は、どちらも地域を支える大切な支援です。
大事なのは、呼び方よりも“どういう気持ちで受け取ったか”を明確にすることです。
- 広告や掲示など“見返り”がある → 協賛金として整理
- 純粋な善意での支援 → 寄付金として整理
この区別をつけておくことで、会計処理やお礼対応もスムーズになります。
支援してくれた方々への感謝を忘れず、正しく・気持ちよく扱うことが何より大切です。
協賛金を受け取った後の領収書やお礼状の書き方は、次の記事「協賛金領収書の書き方」で詳しく解説しています。
実務で迷ったときに、ぜひそちらも参考にしてください。
