地域行事で講師や協力者にお金を渡すとき──
「これはお心付けでいいの?」「謝礼や寸志ってどう違うの?」と迷ったことはありませんか。
実はこの3つの言葉には、立場や気持ちの込め方によって微妙な違いがあります。
どれも“感謝を伝えるお金”であることに変わりはありませんが、使い方を誤ると「ちょっと違うかも…」と感じさせてしまうことも。
この記事では、「お心付け」「謝礼」「寸志」の本来の意味と使い分けを、自治会や地域行事の現場感に沿ってわかりやすく整理します。
お心付けとは?
「お心付け」とは、本来相手への感謝やねぎらいの気持ちをお金で表す言葉です。
仕事の報酬としてではなく、「お気持ちばかりですが…」という思いやりのニュアンスが強いのが特徴です。
たとえば、行事の準備を手伝ってくれた人や、講師・出演者などに対して
「今日は本当に助かりました」「ありがとう」の気持ちを込めて包む──
そんなときに自然に使えるのが「お心付け」です。
お心付けは、あくまで“気持ち”として渡すもの。
相場や金額の正解よりも、「ありがとう」をどう伝えるかが大切です。
謝礼との違い
よく混同される「謝礼」は、労力や時間に対するお礼=報酬の意味を持ちます。
一方で「お心付け」は、形式にとらわれず、感謝の気持ちを添えるものです。
たとえば――
- 講師を招いて話してもらったとき→「謝礼」
- お祭りで裏方を手伝ってくれたOBに→「お心付け」
- 会館の掃除をしてくれた人に少し包むとき→「お心付け」
つまり「謝礼」は、行為に対するお礼、
「お心付け」は、気持ちに対するお礼 と覚えておくと分かりやすいです。
謝礼・寸志との使い分け
「お心付け」「謝礼」「寸志」はどれも“感謝を伝えるお金”ですが、実は使う相手との関係性や場面によって言葉を選ぶのがマナーです。
立場・関係性による違い
| 相手・シーン | ふさわしい表現 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 外部講師・専門家 | 謝礼 | 仕事・依頼に対する報酬として |
| 役員OB・地域の年長者 | お心付け | 感謝や敬意の気持ちを込めて |
| 班長・内部協力者など(立場が近い) | 寸志 | 控えめに感謝を伝える場合に |
「寸志」は、目下から目上へ控えめにお礼をする際に使われる言葉です。
たとえば、自治会の班長から会長へ渡すような場面では「寸志」が自然です。
言葉の方向性で覚えると簡単
- 「謝礼」:対価(働き・労力)に対して渡す
- 「お心付け」:気持ち(感謝・ねぎらい)を表す
- 「寸志」:控えめな感謝(立場の上下を意識)
これを図で整理すると、位置づけは次のようになります。

封筒の表書き早見表
| 目的 | 表書きの例 | 補足 |
|---|---|---|
| 感謝を伝える | お心付け | 目上・協力者などへ自然に使える |
| 労力へのお礼 | 謝礼 | 講師・司会・演奏者などへ |
| 控えめなお礼 | 寸志 | 役員や内部協力者へ向く |
参考封筒の書き方やのし紙の種類については、
「謝礼・寸志の封筒マナー完全ガイド」で詳しく紹介しています。
地域行事での実例と注意点
実際の自治会活動では、「お心付け」「謝礼」「寸志」がそれぞれ自然に使われる場面があります。
まずは、代表的な例を見てみましょう。
よくある場面別の使い分け
| 行事・シーン | 自然な言葉 | 理由・ポイント |
|---|---|---|
| 秋祭りの神事や設営を手伝ってくれたOB | お心付け | 労力への感謝と敬意を込めて |
| 防災訓練で講話をしてくれた消防署員 | 謝礼 | 職務の一環としての協力に対して |
| 清掃活動に協力した班長・役員 | 寸志 | 立場が近い人へ控えめに感謝を示す |
| 敬老会で出演した地元団体(踊り・歌など) | お心付け | 地域貢献へのお礼として自然 |
| 会館貸出やイベント協力をしてくれた近隣住民 | お心付け | 「ありがとう」の気持ちを表す |
地域行事では、「お金の額よりも“気持ちの伝わり方”が大事」です。
特にお心付けは、「わざわざありがとう」という感謝の気持ちが伝わることで印象が良くなります。
渡し方と封筒の注意点
- 金額は無理のない範囲でOK
お心付けの場合、地域行事では1,000~3,000円程度が一般的。
明確な相場よりも、「感謝が伝わる形」を意識しましょう。 - 封筒は白無地または簡易のし袋で
華美すぎる水引や派手なのしは避け、
「お心付け」「御礼」と書いた白封筒が無難です。 - 無理に“形式”を気にしすぎないこと
現場では「気持ちで十分」という声も多く、
包むこと自体が丁寧な対応として受け取られます。
参考封筒の選び方に迷った方は、
「謝礼・寸志の封筒マナー完全ガイド」を参考にしてみてください。
まとめ
「お心付け」「謝礼」「寸志」は、どれも“感謝の形”であることに変わりありません。
ただし、相手との関係や目的によって言葉を選ぶことで、より気持ちが伝わりやすくなります。
- 労力や依頼に対して渡す → 謝礼
- 控えめな感謝を示す → 寸志
- 感謝や敬意を伝える → お心付け
地域行事では、形式よりも「ありがとう」をどう伝えるかが大切です。
お金の額よりも、渡す言葉やタイミングのほうが印象に残るものです。
参考封筒の選び方や金額の目安について知りたい方は、下記の記事もあわせて参考にしてみてください。