自治会では役員が定期的に交代しますが、引き継ぎの場での挨拶はなかなか難しいものです。
「感謝は伝えたいけれど、長すぎてもいけないし…」と悩んでいませんか?
本記事では、新旧役員や会長交代に使える挨拶文例を役割別に整理しました。
場にふさわしい言葉を選んで、スムーズに引き継ぎを行いましょう。
挨拶の型
役員引き継ぎの場での挨拶は、長く話す必要はありません。
基本の流れは次の3ステップです。
- 感謝の言葉
→ これまで支えてくれた方々や地域の皆さんへのお礼 - 前向きな言葉
→ 新役員なら「一生懸命務めます」、旧役員なら「今後も応援しています」など - 協力依頼や締めの言葉
→ 「今後ともご協力をお願いします」「引き続き地域を盛り上げていきましょう」など
この流れに沿うだけで、安心してスピーチができます。
新役員の挨拶文例
フォーマル
パターン1
本日より新しく役員を務めさせていただくことになりました、〇〇でございます。
長年にわたり地域を支えてくださった前任の皆さまに、まず心より感謝申し上げます。
今後は、これまでの活動を大切にしながら、より住みよい地域づくりに微力ながら尽力してまいります。
至らない点も多々あるかと思いますが、どうぞ温かいご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
パターン2
このたび、〇〇役員を拝命いたしました〇〇と申します。
地域活動の歴史と重みを受け継ぎ、大変身の引き締まる思いでおります。
地域の皆さま一人ひとりのお力添えをいただきながら、安心して暮らせる環境づくりに尽力したいと考えております。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
シンプル
パターン1
新しく役員を務めます〇〇です。
微力ではありますが、皆さんと一緒に地域を盛り上げていければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
パターン2
このたび新役員になりました〇〇です。
これからは皆さんに支えられながら、活動をしっかり務めてまいります。
ご指導のほど、よろしくお願いいたします。
パターン3
〇〇と申します。今回から役員として参加いたします。
まだ不慣れですが、地域の力になれるよう努力します。
どうぞよろしくお願いします。
くだけた
パターン1
こんにちは、新しく役員になった〇〇です。
まだまだ分からないことも多いですが、地域のみなさんと協力して楽しく活動していければと思っています。
気軽に声をかけていただけると嬉しいです。これからよろしくお願いします!
パターン2
新役員になりました〇〇です。
少し緊張していますが、みなさんと力を合わせて、この地域をもっと元気にしていけたらと思います。
どうぞよろしくお願いします!
パターン3
お世話になります、新役員の〇〇です。
私自身も地域の一員として、一緒に楽しみながら役員の仕事を頑張っていきたいと思っています。
これからどうぞよろしくお願いします。
旧役員の挨拶文例
フォーマル
パターン1
本日をもちまして役員を退任いたします、〇〇でございます。
在任中は地域の皆さま、そして役員仲間の方々に大変お世話になりました。
至らない点も多々ありましたが、温かいご支援のおかげで務めを果たすことができました。
今後は一住民として、これからの活動を応援し、必要なときは微力ながら協力させていただきます。
これまで本当にありがとうございました。
パターン2
このたび役員を退任することとなりました、〇〇でございます。
任期の間、多くの方に支えられ、地域の活動に携わることができましたことを心より感謝申し上げます。
今後は新しい役員の皆さまにバトンを託し、地域の発展を見守ってまいります。
引き続き、皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
シンプル
パターン1
本日で役員を退任します〇〇です。
在任中はたくさんのご協力をいただき、本当にありがとうございました。
今後は新しい役員の方々を応援していきたいと思います。
パターン2
〇〇です。本日で役員を退任いたします。
皆さんに支えられて無事に務めを終えることができました。
ありがとうございました。
パターン3
役員を退任します〇〇です。
短い間でしたが貴重な経験をさせていただきました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
くだけた
パターン1
みなさん、今日で役員を卒業する〇〇です。
この数年間、本当にいろんな場面で助けていただきました。
これからは地域の一員として、気楽にイベントなどに参加していきますので、また声をかけてください。
パターン2
お世話になりました、〇〇です。
あっという間でしたが、役員を通して多くの方と関われたことに感謝しています。
これからも新しい役員の皆さんを応援していきますので、よろしくお願いします。
パターン3
今日で役員を退くことになりました〇〇です。
不慣れな私を温かく支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。
また地域のイベントなどでお会いしましょう!
会長交代の挨拶文例
新会長の挨拶
パターン1(フォーマル)
このたび〇〇自治会の会長を拝命いたしました、〇〇でございます。
歴代会長ならびに役員各位が築いてこられた基盤を引き継ぐにあたり、身の引き締まる思いでおります。
防災・見守り・交流の三本柱を大切に、誰もが安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。
まだ不慣れな点もございますが、率直なお声をいただきながら誠心誠意務めます。
今後とも温かいご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
パターン2(フォーマル)
新たに会長をお引き受けすることになりました〇〇です。
前会長のご尽力と会員皆さまの支えに、心から敬意と感謝を表します。
行事の運営や情報発信の見直しなど、できるところから着実に改善していきます。
「できる人が、できる時に、できることを」の合言葉で、無理のない参加を広げたいと考えています。
どうか引き続きのご理解とご協力をお願いいたします。
パターン3(シンプル)
会長に就任いたしました〇〇です。
安全・交流・環境の三点を意識して、負担は小さく、効果は大きくを目指します。
ご意見はいつでも歓迎です。回覧板や掲示板、メールでもお寄せください。
皆さんと一緒に進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
旧会長の挨拶
パターン1(フォーマル)
本日をもちまして会長を退任いたします〇〇でございます。
在任中は、役員の皆さま・会員の皆さまに多大なるご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
至らぬ点も多々ございましたが、温かいお力添えのおかげで任期を全うできました。
今後は新体制を陰ながら支えつつ、一会員として地域活動に参加してまいります。
これまで本当にありがとうございました。
パターン2(フォーマル)
〇〇自治会の会長としての任を、本日で終えることになりました。
行事の再開や防災体制の見直しなど、皆さまと共に取り組めたことは大きな財産です。
新会長〇〇さんには大いに期待しております。引き続きのご支援をお願いいたします。
これまでのご厚情に深く感謝申し上げます。
パターン3(シンプル)
退任のご挨拶を申し上げます、〇〇です。
皆さまのご協力に支えられて務めを終えることができました。
これからは新体制を応援しつつ、地域の一員として参加していきます。ありがとうございました。
ダメな挨拶例(避けるべきポイント)
- 自慢話が長い(功績の羅列)
「わたしの任期中に〇〇も△△もすべて実現しました。予算確保も交渉も、ほぼわたし一人で…」 - 前任・特定個人の批判や比較
「前の役員はやり方が古かったので、自分はがらっと変えます。あの方法はもう時代遅れです。」 - ネガティブに過ぎる自己卑下・言い訳
「忙しくて何もできません。期待されても無理かもしれませんが、できる範囲で…」 - 専門用語だらけ・内輪ネタで不親切
「一次配分のKPIは未達でしたが、次年度は指標をピボットして…(※意味が伝わらない)」 - 地域を下げてしまう表現
「うちは小さな自治会ですから、大したことはできません。期待しないでください。」 - 責任放棄に聞こえる言い回し
「困ったら役員がなんとかします。皆さんは関わらなくて大丈夫です。」
書き方のポイント
1. 時間配分(45秒目安)
- 冒頭の感謝 15秒
- 抱負・方針 20秒
- 協力依頼・締め 10秒
→ 長くなりそうなら「抱負」の項目を1点に絞る。
2. 感謝は具体に
- 「歴代役員の皆さま」「班長さん」「行事に参加してくださった皆さま」など対象を一つだけ明示。
- 例:わたしは、これまで活動を支えてくださった歴代役員の皆さまに心から感謝しています。
3. 前向きな言葉は“行動+目的”で
- 「〜に取り組みます」だけで終わらず“何のために”まで言う。
- 例:行事の周知を見直し、参加しやすい雰囲気づくりにつなげます。
4. 協力依頼は“圧を下げる”言い回しで
- 「できる時に、できる範囲で」「無理のない形で」を入れる。
- 例:できる時に、できる範囲でのお力添えをいただければ心強いです。
5. 主語のバランス
- 「わたし」よりも「地域・皆さん・わたしたち」を多めに。
- 自己アピールは一文まで。
6. 数と固有名詞は“各1つまで”
- 数字や施策名を並べると長くなる。最大1つに制限。
7. 語尾とトーンの整え方
- フォーマル:です・ます、敬語一貫
〜してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
- シンプル:丁寧だが簡潔
〜していきます。よろしくお願いします。- くだけた:やわらかく前向き
〜していけたらうれしいです。よろしくお願いします。
8. 退任挨拶のコツ(旧役員)
- 功績は「みんなで」の主語に置き換える。
行事の安全運営は、皆さんのご協力あってのことでした。
- 引き継ぎを明示
今後は新体制を応援し、必要な時は力をお貸しします。
9. 会長交代特有の配慮
- 新会長:方針は3本柱までに要約。
- 旧会長:後継への期待と連続性を一文で。
新会長のもとで、より安心な地域づくりが進むと確信しています。
10. 仕上げチェック(読み上げ前に30秒で確認)
- 30〜60秒に収まっているか
- 感謝→抱負→協力依頼の順になっているか
- ネガティブ・批判・地域を下げる表現が入っていないか
- 主語が「わたし」に偏っていないか
アレンジ例
季節の言葉を添える
- 春:
桜の季節を迎え、心も新たに役員を務めさせていただきます。 - 夏:
暑さに負けず、地域の活気を一層高めていきたいと思います。 - 秋:
実りの秋にふさわしい、成果ある活動を目指してまいります。 - 冬:
寒さの中でも心温まるつながりを大切にしたいと思います。
地域事情を取り入れる
- 商店街の活性化 → 「地域のお店と協力してイベントを盛り上げたい」
- 高齢化が進む地域 → 「安心して暮らせる見守り体制を強化していきたい」
- 子どもが多い地域 → 「子どもたちの笑顔を守れる行事づくりを心がけます」
個人らしさを軽く入れる
- 「私は散歩が好きなので、まちの変化を見ながら活動に生かしたいと思います」
- 「子どもがまだ小さいので、親の目線も取り入れていければと考えています」
行事の直前・直後なら
- 開催前 → 「もうすぐ秋祭りもあります。地域みんなで楽しみながら準備していきましょう」
- 開催後 → 「先日の清掃活動では多くの方にご参加いただき、本当にありがとうございました」
引き継ぎらしさを強調するフレーズ
- 新役員 → 「これまでの流れを大切にしつつ、新しい工夫も少しずつ取り入れていきます」
- 旧役員 → 「これからは一会員として、新体制を陰ながら支えていきます」
まとめ
役員の引き継ぎ挨拶は、長く話す必要はありません。
大切なのは「感謝 → 前向きな言葉 → 協力依頼」という流れを押さえることです。
新役員であれば「これから頑張ります」という気持ちを、旧役員であれば「皆さんに支えられました、ありがとうございました」という感謝を中心に伝えれば十分です。会長交代の場面では、責任の重さに触れつつも、地域のつながりを守る姿勢を示すと安心感を与えられます。
自分の言葉で短くまとめれば、それが一番心に届く挨拶になります。
どうぞ肩の力を抜いて、自然な気持ちで引き継ぎの場に臨んでくださいね。