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自治会名簿のデジタル管理|個人情報保護のリスクと現実的な対策

KAZU

2年間自治会長を務め、役員会や地域行事の運営・挨拶を数多く経験。

形式よりも「実際に困っている人が安心して進められること」を大切に、挨拶文・マナー・テンプレートなど、現場に即した情報をまとめています。

同じように“誰かのために動く人”が少しでも楽になれたら嬉しいです。

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自治会の名簿管理、どこまで気をつけるべきか迷っていませんか?

正直に言うと、私も会長時代に「これで大丈夫なのかな…」と不安を抱えていました。

当時はGoogleドライブで名簿を共有し、Excelにパスワードをかけてメールで送る、という運用をしていたんですが、改めて調べてみると、私たちの運用にもかなりリスクがあったことがわかりました。

この記事では、そのリスクを正直に共有しながら、現実的な対策を提案してしたいと思います。

自治会名簿の管理、何が問題なのか

名簿管理の問題は、「個人情報保護法」が自治会にも適用されることです。

2017年の法改正以降、取り扱う人数に関係なく、すべての団体が対象になりました。

個人情報保護法は自治会にも適用される

2017年の法改正により、自治会も「個人情報取扱事業者」として扱われるようになりました。以前は「5,000人以下の個人情報を扱う事業者」は対象外だったのですが、この条件がなくなったんです。

個人情報保護委員会の公式見解でも、「NPO法人や自治会・町内会、同窓会、PTAのほか、サークルやマンション管理組合なども個人情報取扱事業者に該当し得ます」と明記されています。

参考:個人情報保護委員会|自治会・町内会等も個人情報保護法の対象になるか

これが意味するのは、自治会にも「安全管理措置」の義務があるということ。

万が一、漏洩が発生した場合、役員個人の責任が問われる可能性もあります。

個人情報保護法は「企業だけの話」ではありません。自治会も対象です。

名簿に含まれる情報は「個人データ」

自治会の名簿には、一般的に氏名、住所、電話番号、生年月日などの情報が含まれています。これらの情報を検索可能な状態で管理している時点で、法律上は「個人情報データベース」に該当します。

Excelで管理していても、スプレッドシートで管理していても、これは同じです。

漏洩したら自治会の信頼が崩壊する

名簿が漏洩した場合、取り返しがつきません。一度外に出た情報は、完全に回収することができないからです。

「あの自治会は情報管理がずさんだ」という評判が立てば、その影響は長く続きます。新しい住民が加入をためらったり、既存の会員が退会を検討したり。

自治会の存続にも関わる問題なんです。

よくある運用方法とそのリスク

ここからは、多くの自治会で見られる運用方法と、それぞれのリスクを整理します。

どれも「やりがちな方法」ばかりですが、振り返ってみると危険な点がいくつもあります。

運用方法主なリスク特に危険な点
Excelをメールで送るパスワード解析、転送追跡不可誰がどこに保存したかわからない
USBメモリで受け渡し紛失・盗難暗号化なしは紛失=漏洩
無料クラウドで共有共有設定ミス、ログなし「リンクを知っている全員」設定

【パターン1】Excelをメールで送る

「Excelにパスワードをかけて送れば安心」と思いがちですが、これには問題があります。

Excelのパスワードは市販のソフトで解析できてしまいます。

また、送ったメールが転送されたら追跡できませんし、受け取った人がどこに保存したかもわからなくなります。

特に怖いのは、退任した役員のパソコンにいつまでも残っている、ということが起こり得る点です。

【パターン2】USBメモリで受け渡し

「クラウドは怖いから、USBで手渡しにしよう」という判断も理解できます。 ただ、USBメモリには紛失・盗難のリスクがあります。

暗号化されていないUSBは、紛失イコール漏洩です。 実際、PTA・学校での漏洩事故の多くがUSB紛失によるものと言われています。

手渡しの安心感はあるのですが、物理的な紛失リスクは意外と高いんです。

【パターン3】無料クラウド(Googleドライブ等)で共有

「クラウドなら便利だし、無料で使える」というのは魅力的です。 ただし、無料版には大きな落とし穴があります。

「リンクを知っている全員」設定にすると、誰でもアクセスできてしまいます。 実際に、奈良市のPTAで漏洩事故が発生した事例もあります。

そして何より、無料版では「誰が見たか」のログ(履歴)が取れません。 共有設定のミスは、本当に起こりやすいんです。

【体験談】私たちの運用も危なかった

私の自治会では、名簿をExcelとスプレッドシートで管理していました。管理項目は、代表者名、班、住所、生年月日、連絡先といった内容です。

もともとExcelで管理されていたものを、私が会長になってからGoogleドライブにも保存するようになりました。「リンクを送れば共有できて便利だな」と思っていたからです。

Excelファイルにパスワードをかけて送ることもありましたし、Googleドライブの共有リンクをそのまま送ることもありました。

今振り返ると、ログが残らない状態で運用していたのは問題だったと思います。

「誰がアクセスしたか」「いつ見たか」

そういった記録がまったく残っていませんでした。

調べてみてわかったのですが、ログが残らない運用は推奨されていません。

もし何か問題が起きたとき、「最善を尽くした」という証明ができないからです。

完璧なセキュリティを求めると何が起きるか

ここまで読んで、「じゃあどうすればいいの?」と思われたかもしれません。

リスクを完全にゼロにしようとすると、また別の問題が生まれます。

「オフラインのみ」は現実的じゃない

名簿を紙でしか管理せず、デジタル化しない。 これが最も安全なのは確かです。

ただ、それでは役員間の共有ができません。

「USBで手渡し」にしても、前述のとおりリスクがあります。

現実的に運営しようと思うと、何らかの形でデジタル共有は必要になってきます。

セキュリティを徹底すると役員の負担が増える

ログ管理、アクセス権限の設定、暗号化の対応…。

本気でセキュリティを徹底しようとすると、やることがどんどん増えます。

でも、自治会役員はボランティアです。 本業や家庭がある中で、ここまでの負担を求められるでしょうか。

そこまでやらないといけないなら、役員はやりたくない

これが多くの人の本音だと思います。

若い人材はデジタル化されていない組織を敬遠する

一方で、デジタル化を避けて紙と手渡しに戻すと、別の問題が起きます。 それは、若い世代が自治会に参加しなくなることです。

「まだ紙と手渡しでやってるの?」 「効率が悪すぎて、関わりたくない」

こう思われてしまうと、ますます役員のなり手がいなくなります。

私も正直、「なぜボランティアでここまで気を使わないといけないのか」という気持ちが湧いてきたことがあります。

でも、だからこそデジタル化してクラウドに預けるのが、最低限必要な運営コストなんだと思うようになりました。

ネット環境や有料ツールへの投資をしないと、若い人材は参加してくれません。

現実解は「最低限の投資」

完璧は無理。でも、何もしないわけにもいかない。

そこで提案したいのが、「最低限の投資」という考え方です。

セキュリティにはコストがかかる

無料ツールでは、できることに限界があります。 特に「ログを取る」「アクセス権限を細かく設定する」といった機能は、有料版でないと使えないことが多いです。

自治会の運営経費として、セキュリティへの投資を検討してみてほしいと思います。

有料ツールで得られるもの

有料ツールを使うと、以下のようなことができるようになります。

  • 「誰がいつアクセスしたか」のログが残る
  • 細かいアクセス権限の設定ができる
  • 共有設定ミスを防ぐ機能がある
  • 退任した役員のアクセス権を確実に削除できる

特にログが残ることは重要です。

万が一何か起きたときに、「どこで問題が発生したか」を追跡できます。

おすすめの選択肢

具体的に、どんなツールを検討すればいいのでしょうか。

自治会の規模や予算に合わせて、いくつかの選択肢を紹介します。

ツール料金目安特徴こんな自治会向け
Google Workspace月800円/人〜(税抜)監査ログ、高度な共有設定Googleドライブを使い慣れている
サイボウズ チーム応援年9,900円/最大900人(税抜)細かいアクセス制御、国産日本語サポートが欲しい
Microsoft 365月899円/人〜(税抜)Excel Online + OneDriveExcelの操作感を変えたくない

料金は2026年時点の情報です。最新の料金は各社公式サイトでご確認ください。

【選択肢1】Google Workspace(有料版)

普段からGoogleのサービスを使っている自治会におすすめです。

Business Starterプランは月額800円/ユーザー(税抜・年契約)から利用できます。 役員5人で契約すれば、月4,000円程度です。

2025年からはAI機能「Gemini」が標準搭載され、メール作成の補助やドキュメント作成のサポートも受けられるようになりました。

無料版との大きな違いは、「監査ログが取れる」「共有制限を細かく設定できる」という点です。 すでにGoogleドライブを使っているなら、移行もスムーズだと思います。

詳しい機能や料金は、Google Workspace 公式サイトで確認できます。

【選択肢2】サイボウズ チーム応援ライセンス

国産のクラウドサービスで安心感があります。 自治会やPTA向けの特別ライセンスがあるのが大きな特徴です。

kintone(キントーン)やGaroon(ガルーン)を、年額9,900円(税抜)で最大900ユーザーまで利用できます。 審査があるため、すべての団体が対象になるわけではありませんが、自治会は対象に含まれています。

「班長は自分の班だけ見える」といった、細かい権限設定ができるのが特徴です。 日本の会社が運営しているので、サポートも日本語で受けられます。

詳細はサイボウズ チーム応援ライセンスで確認できます。

【選択肢3】Microsoft 365 Business

Excelに慣れている自治会には、こちらも選択肢になります。

月額899円/ユーザー(税抜・年契約・年払い)から利用でき、Excel Online、Word Online、OneDrive、Teamsなどが使えます。

デスクトップ版のOfficeアプリは含まれていませんが、Web版で十分という場合には手頃な選択肢です。

「今までExcelで管理していたから、操作感を変えたくない」という場合に向いています。

どうしても無料で運用する場合の最低限ルール

「まずは無料で試したい」「予算の確保が難しい」という場合もあると思います。

その場合は、せめて以下のルールを守ることをおすすめします。

共有設定は「制限付き」のみ

「リンクを知っている全員」という設定は、禁止にしてほしいです。

これだと、リンクが転送されれば誰でもアクセスできてしまいます。

共有するときは、特定のメールアドレスを招待する形式だけにしましょう。

役員交代時にアクセス権を削除する

退任した役員のアクセス権を放置しないでください。

引き継ぎの際のチェックリストに、「アクセス権の削除」を入れておくといいです。

名簿の印刷物は会議後に回収・シュレッダー

紙の名簿を配布した場合は、会議後に回収します。

持ち帰らせると、どこで紛失するかわかりません。

回収した紙は、シュレッダーにかけて処分しましょう。

ただし、これでもリスクは残る

無料版ではログが取れないため、漏洩しても原因特定が困難です。

「最善を尽くした」という証明もできません。

本気で対策を考えるなら、やはり有料ツールの検討をおすすめします。

名簿に入れる情報を最小限にする

もうひとつ大切なのは、「そもそも集める情報を減らす」という考え方です。

「あると便利」で集めすぎない

名簿を作るとき、「念のため入れておこう」と情報を増やしがちです。

でも、本当にその情報は必要でしょうか。

「いつか使うかも」と生年月日まで集めている自治会もあると思います。 敬老のお祝いなどで使う場面はありますが、なくても運営できるなら、集めないという選択もあります。

配布用名簿は「氏名のみ」も検討

全員に住所や電話番号を配布する必要があるでしょうか。

連絡は役員を経由する形にすれば、住所を全体に共有しなくても済みます。

「何かあったときのために」という気持ちはわかります。 ただ、情報が広がるほどリスクも高くなることは意識しておきたいです。

まとめ|セキュリティと現実のバランス

自治会名簿の管理には、個人情報保護法の義務があります。

これは事実として、受け止める必要があります。

ただし、完璧なセキュリティを求めると、役員のなり手がいなくなります。ボランティアに過度な負担を強いるのは、現実的ではありません。

だからこそ、「最低限の投資」が現実解だと思います。

セキュリティへの投資は、役員を守るための投資です。

「自分たちが何か問題を起こしてしまったらどうしよう」という不安を減らすことにもつながります。

あなたの自治会でも、ぜひ検討してみてください。

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補足 この記事は一般的な情報をまとめたものであり、法的助言ではありません。 具体的な対応については、必要に応じて専門家(弁護士、行政書士など)にご相談ください。 個人情報保護法の詳細は、個人情報保護委員会のガイドラインも参考になります。

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