毎回の会議のたびに、何枚も資料をコピーしてホッチキス留めしていませんか?
自治会の役員、特に会長や書記を担当すると、この「紙の準備」だけで相当な時間と労力を持っていかれますよね。
私の自治会でも、以前は会議のたびに「A4資料5枚 × 参加者全員分」をコピーしていました。インク代も紙代もバカになりませんし、何より準備が面倒です。
そこで、私の代で思い切って「大型モニターを活用したペーパーレス会議」を導入。
結論から言うと、会議の質が劇的に変わり、無駄な時間が減り、なんと懇親の時間が増えました。
この記事では、実際にどのようにペーパーレス化を進めたのか、そして一番の懸念点である「高齢の役員さんは対応できたのか?」というリアルな実体験まで、包み隠さずお話しします。
ペーパーレス化する前の会議の問題点
まず、モニターを導入する前の「紙だらけの会議」がいかに非効率だったか、改めて整理してみます。
当時の私たちは、こんな問題に頭を悩ませていました。
毎回5枚以上の資料を参加者分コピー
定例会のたびに、報告事項や行事予定など、5〜10枚の資料を作成していました。
役員が10人いれば、合計50〜100枚。
裏表印刷にしたり、2アップ(1枚に2ページ分印刷)にしたりと工夫はしていましたが、それでも大量の紙が必要です。
配布の手間、コピー代、紙の保管場所
地味にストレスだったのが、以下の作業です。
- コンビニや集会所のコピー機で印刷する手間
- 全員分を部数ごとに仕分けてホッチキス留めする作業
- 使い終わった後のファイリング場所
特に年度末にはファイルがパンパンになり、「これ、来年も取っておく必要ある?」という議論が毎年繰り返されていました。
みんなバラバラのページを見ていて議論がかみ合わない

紙の資料で一番困るのがこれです。
会長が「3ページの行事予定ですが…」と話しているのに、誰かが「あれ、予算の数字が違わない?」と1ページ目の話を蒸し返す。
「みんなが今、どこを見ているか」を制御できないため、議論があっちこっちに飛び火して、会議が無駄に長引く原因になっていました。
ペーパーレス化後の会議の流れ
そこで導入したのが、「大型テレビモニター(またはプロジェクター)」です(補助金で購入)。
私のパソコンをHDMIケーブルで繋ぎ、資料を大画面に映し出すスタイルに変えました。
すると、会議の風景は劇的に変わりました。
紙の会議とモニター会議の違いを比較してみます。
紙の会議(Before) | モニター会議(After) | |
| 視点 | 誰もが好きなページを見ている | 全員が同じ画面・同じ箇所を見ている |
| 修正 | 「次回直しておきます」で終わる | その場で赤字修正して完了 |
| 補足 | 口頭説明のみで伝わりにくい | 地図や参考サイトをその場で表示 |
| 時間 | 議論が脱線しやすく長い | 集中するため短時間で終わる |
| 準備 | 印刷・製本に30分以上 | データ転送のみで0分 |
大型モニターに資料を映してみんなで見る
基本的には、手元の紙資料は「議題(アジェンダ)」の1枚だけ。
詳しい中身はすべてモニターに映し出します。
全員が顔を上げ、前を向いて会議に参加するスタイルになりました。
同じ画面を見ながら議論できるのでスムーズ
モニターを使う最大のメリットは「視点の同期」です。
司会者が映している箇所しか見えないため、全員が同じ話題に集中せざるを得ません。
「ここの数字を見てください」とマウスカーソルで指したり、重要な部分をその場で赤字にしたり。こうすることで、「今どこ話してるの?」というロスタイムが完全に消滅しました。
会議が短くなり、懇親の時間が増えた
結果として、1時間かかっていた会議が40分で終わることもザラにありました。
浮いた20分はどうするか? もちろん、懇親の時間(お茶やお菓子を楽しむ時間)に回しました。
「事務的な処理」を効率化して、「人と話す時間」を増やす。
これこそが自治会活動の本質的な楽しさだと気づきました。
資料の作り方と共有方法
「デジタル化って、特別なソフトがいるの?」と聞かれますが、今まで使っていたソフトそのままでOKです。
作成ツールは、Word、PowerPoint、Excelが基本
資料自体は、使い慣れたWordやExcelで作っています。
ただ「印刷用」にレイアウトを凝る必要がなくなったので、文字を少し大きくしたり、写真を見やすく配置したりと、「画面で見やすい資料」を意識するようになりました。
Googleドキュメントやスライドでも対応可能
最近は、引き継ぎのしやすさを考えてGoogleドキュメントやGoogleスライドも使っています。
これならUSBメモリを忘れても、ネットさえ繋がればどこでも資料が開けるので安心です。
会議中はモニターに映し、データは後で共有
会議中はモニターを見るだけ。
詳細なデータが必要な人には、会議後にPDF化してLINEグループやメールで送ります。
「紙で欲しい」という人には、必要な分だけ後日印刷して渡せばOKです。
高齢の役員はペーパーレス化に対応できた?
ここが皆さんが一番心配する点だと思います。
「デジタルなんてわからん!」と怒られなかったのか?
実際の結果は意外なものでした。
「わかりやすい」と好評だった
むしろ、高齢の方ほどモニター会議を歓迎してくれました。
理由はシンプル。「文字が大きくて見やすいから」です。
高齢役員さんの実際の声
「手元の紙やと、老眼鏡をかけたり外したりして実は大変やったんよ。テレビの大画面ならメガネなしでも見えるから、こっちのほうが楽で助かってる」
手元のA4用紙に印刷された小さな文字を追うよりも、75インチのモニターに映された巨大な文字を見るほうが、圧倒的に目が楽なのです。
モニターで地図を映したり、ネットで調べたりが便利
先ほど触れたGoogleマップの活用などは、まるで手品を見るかのように面白がってくれました。
「へぇ〜、今はこんなことができるんか」と、会議自体がちょっとしたエンタメになります。
新しいものに触れる楽しさを感じてもらえたようです。
ただし慣れない人がいるのも事実
もちろん、全員が諸手を挙げて賛成というわけではありません。
「手元に書いてある安心感」を求める方もいますし、メモを取りたいという要望もありました。
そこへの配慮も必要です。
完全ペーパーレスにはしなかった理由
私の自治会では、紙を「ゼロ」にはしませんでした。
あえて「ハイブリッド(紙とデジタルの併用)」を選んだのには理由があります。
高齢の役員が主催の場合は紙を残した
私が司会の時はパソコンを使いますが、高齢の副会長さんが司会をする時は、無理にパソコンを使わせず、従来どおり紙の資料を使いました。
「司会をする人」が一番やりやすい方法を選ぶのが鉄則です。
急な変化を嫌う人は必ずいる
「今まで通りがいい」という変化を嫌う層は、どんな組織にも必ず2割はいます。
ここで強引に「今日から紙は禁止です!」とやると、不要な反発を招き、人間関係がギスギスしてしまいます。
まずはハイブリッドで進めるのがおすすめ
私は以下のルールで運用しました。
ペーパーレス化の「逃げ道」を作っておく
- 基本はモニター投影で進める
- どうしても紙がいい人には、数部だけ用意して渡す
- 手書きメモ用に「裏紙」を机に置いておく
この「逃げ道」を作っておくことで、反対意見を封じつつ、徐々にデジタル派を増やしていく作戦がうまくいきました。
ペーパーレス化を進めるコツ
これからペーパーレス化に挑戦する方へ、失敗しないためのコツをお伝えします。
いきなり全廃ではなく、併用からスタート
最初から100点を目指さないこと。
「今月は地図だけモニターに出してみよう」など、部分的な導入から始めてみてください。
「便利だ」と実感してもらうことが大事
「経費削減のため」と言うとケチくさいですが、メリットを強調すると受け入れられやすいです。
- 文字が大きくて見やすくなりますよ
- 地図がその場で見れますよ
- カラー写真も綺麗に見れますよ
「便利なら、まァいいか」と思わせれば勝ちです。
時代の流れとともに自然と変わっていく
今は過渡期です。無理に全員を変えようとしなくても大丈夫。
数年もすれば、スマホやタブレットを使いこなす世代が役員の中心になります。
その時、自然と完全ペーパーレスに移行するはずです。焦る必要はありません。
まとめ|ペーパーレス化は「未来への準備」
自治会のペーパーレス化について、実体験をもとに解説しました。
最後にポイントを振り返ります。
| ポイント | 詳細 |
| 会議の質向上 | 視点が統一され、議論が噛み合うようになる |
| 高齢者へのメリット | 大画面表示は「老眼」に優しく好評だった |
| 導入のコツ | 無理に全廃せず「ハイブリッド」から始める |
今はまだ「紙のほうが楽」という人も多いかもしれません。しかし、デジタルネイティブ世代が自治会に参加する未来はすぐそこまで来ています。
「私たちの代で完全に変える!」と意気込む必要はありません。
「次の世代がやりやすいように、選択肢を増やしておく」
それくらいの軽い気持ちで、始めてみてはいかがでしょうか。

