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自治会に入らないとどうなる?|加入率90%の地域で会長を務めた経験から

KAZU

2年間自治会長を務め、役員会や地域行事の運営・挨拶を数多く経験。

形式よりも「実際に困っている人が安心して進められること」を大切に、挨拶文・マナー・テンプレートなど、現場に即した情報をまとめています。

同じように“誰かのために動く人”が少しでも楽になれたら嬉しいです。

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「引っ越してきたけど、自治会って入らなきゃダメなんですか?」
「正直、役員とか面倒だし、メリットがなさそうで……」

そんな悩み、よく耳にします。
新しい生活を始めるとき、ご近所付き合いや地域のルールは気になるポイントですよね。

実は私、加入率が90%を超える地域で、自治会長を2年間務めていました。

会長という立場上、「ぜひ入ってください」と言うことも多かったのですが、一方で「入らない」という選択をした方々の事情や、その後の地域との関わり方も間近で見てきました。

今回は、元会長だからこそ話せる「自治会に入らないと実際どうなるのか」というリアルな現実を、忖度なしでお話しします。

自治会は「任意加入」|入らなくても法的には問題ない

まず結論から言うと、自治会への加入は法律で決まっているわけではありません。

自治会・町内会は任意団体

自治会(地域によっては町内会、区会とも呼ばれます)は、あくまでその地域に住む人たちが自主的に運営する「任意団体」です。

学校のPTAや、趣味のサークルと同じような立ち位置だと考えてください。

加入を強制することはできない

時々、「この地域に住むなら入るのが決まりだから」と強く言われるケースも耳にしますが、法的に強制力はありません。

過去の裁判の判例でも、「加入を強制することはできない」という判断が出ています。
なので、「入らない」という選択をすること自体は、何ら悪いことではないのです。

実際に、過去には加入を強要した自治会側に対して、慰謝料の支払いを命じた裁判の判例(福岡高裁 平成26年判決など)も出ています。

ですから、「入らない」という選択をすること自体は、何ら悪いことではないのです。

法的な根拠や判例について詳しく知りたい方は、以下の弁護士による解説記事なども参考にしてみてください。

参考Q 自治会(町内会や地域会)は強制加入ですか?任意加入ですか?|アセット中木村法律事務所

ただし「入らない」ことで生じる影響はある

「じゃあ入らなくていいや!」
と即決するのはちょっと待ってください。

法的に問題ないとはいえ、これまで地域のみんなで作り上げてきたコミュニティの仕組みの中に住むことになるわけです。

そこから抜けることで、生活にどのような不便や気まずさが生じるのか、具体的に見ていきましょう。

自治会に入らないと実際どうなるか

私が会長をしていた地域で、未加入の方が直面していた「リアルなデメリット」は主にこの4つです。

回覧板が回ってこない|地域情報が届かない

一番わかりやすい変化は、回覧板が来なくなることです。

「今はネットがあるから大丈夫」と思うかもしれませんが、意外とローカルな情報はネットに載りません。

  • 近所の道路工事のスケジュール
  • 地域のお祭りの子供向け特典
  • 不審者情報や熊・イノシシの出没情報
  • 学校区の細かな変更

こういった「半径数百メートルの情報」が手に入りにくくなるのは、意外と不便なものです。

ゴミ出しはできる|ただし集積所の管理は自治会がしている

ここが最もトラブルになりやすいポイントです。

法律上、家庭ゴミの収集は自治体(市役所など)の責任なので、自治会に入っていないからといってゴミを出せないということはありません。

しかし、ゴミ集積所(ゴミ捨て場)の掃除や、カラス除けネットの管理は、自治会がボランティアで(あるいは自治会費を使って)行っている地域がほとんどです。

「掃除当番はしないし会費も払わないけれど、ゴミは捨てさせてほしい」

これが理屈としては通っても、掃除をしている会員の方からすると「いい気はしない」というのが本音

地域によっては、未加入者には少し離れた別の集積所を指定されるケースや、戸別収集の契約を求められるケースもあります。

地域イベントや防災訓練の案内が届かない

夏祭りや運動会、餅つき大会などのイベント案内は、回覧板で回ることが多いです。
特にお子さんがいる家庭では、「友達が行くお祭りに、うちだけ案内が来ていない」という状況になりがちです。

また、防災訓練への参加や、災害備蓄品(非常食や土嚢など)の配布対象から外れることもあります。

ご近所との関係が築きにくくなる

毎朝の挨拶はしても、掃除当番や行事で顔を合わせる機会がないため、どうしても心理的な距離ができてしまいます。

「あの人は自治会に入らない人」

というレッテルを貼られてしまう地域が、まだ少なからず存在するのは事実です。

未加入の人と加入者の関係|私が見てきた現実

私が会長をしていた加入率90%の地域では、未加入の方は全体の1割弱でした。
少数派である彼らが、地域とどう関わっていたかをお話しします。

未加入の理由はさまざま

「面倒だから」という理由だけではありません。

  • 年金暮らしで自治会費が払えない
  • 単身赴任でほとんど家にいない
  • 以前住んでいた地域でトラブルがあった

会長として話を聞きに行くと、それぞれに切実な事情がありました。
決して「協調性がない人たち」ばかりではないのです。

トラブルになるケースもある

正直に言うと、トラブルも見てきました。

よくあるのが「ゴミ出しのマナー」と「雪かき・溝掃除」です。

地域のみんなで一斉に行う清掃活動に参加しないことで、

「あの家の前の溝だけ汚い」
「私たちの家の前にはゴミを出さないでほしい」

といった苦情が、会長である私の元に届くこともありました。

お互いに距離ができやすい

未加入の方と加入者の間で、あからさまな喧嘩になることは稀です。

ただ、「なんとなくよそよそしい」という空気感は生まれます。

災害時など、いざという時に「助け合おう」と言い合える関係性が築きにくいのは、個人的には少し寂しいことだと感じていました。

自治会費が負担という声も多い

「入らない」理由の大きな一つが、お金の問題です。

高齢者から「払うのが厳しい」という相談

私の地域では月額500円程度の会費でしたが、それでも年金暮らしの方からは「毎月の出費が痛い」という相談を受けました。

「赤い羽根募金」や「神社への寄付」などが会費に上乗せされる場合もあり、それが不満の種になることもあります。

自治会費の使い道が見えにくいと不満になりやすい

「集めたお金で役員が飲み食いしているんじゃないか?」

そんな疑念を持たれることもありました(実際は会議のお茶代程度でしたが…)。

使い道が不透明だと、「何のために払っているのかわからない」という不満につながり、脱退の引き金になります。

会費の金額や使い道は地域によって異なる

月数百円のところもあれば、数千円かかるところもあります。

街灯の電気代や防犯カメラの維持費に使われていることも多いので、一概に「無駄」とは言えないのが難しいところです。

そもそも自治会は何のためにあるのか

ここまでデメリットばかり挙げてしまいましたが、元会長として「自治会の存在意義」についても少し触れさせてください。

役場がやるべきことを、自治会がボランティアで担っている

実は、広報誌の配布や街灯の管理、災害時の避難誘導など、本来なら行政(市役所)がやるべき仕事の多くを、自治会が代行しています。

これを「行政の下請け」と批判する声もありますが、役場の職員だけで全世帯をカバーするのは不可能です。

行政と住民をつなぐ役割

「ここのカーブミラーが見にくい」
「通学路が危ない」

そんな住民の声をまとめて役場に要望を出すのも、自治会の大事な仕事です。

個人の声だとなかなか動いてくれない案件も、自治会からの要望書だとスムーズに通ることが多々あります。

自治会がなくなると、行政の負担が大きくなる

もし自治会がなくなれば、これらの業務をすべて行政がやることになり、結果として住民税が上がったり、サービスが低下したりする可能性があります。

自治会は「自分たちの街を、自分たちの手で(安く)守る」ための仕組みでもあるということです。

入る・入らないの判断は自分次第

長くなりましたが、入会するかどうかは、ご自身のライフスタイルに合わせて決めて良いと思います。

👍️メリット

  • 地域情報がいち早く入る
  • ゴミ出しや災害時の不安が減る
  • 近所に顔見知りが増え、子供や高齢者の見守りになる

👎️デメリット

  • 自治会費がかかる
  • 役員や当番が回ってくる(これが最大のネックですね……)
  • 会合や行事で時間が取られる

「今の自分にとって」どちらがいいかで決める

「子供が小さいうちは、地域とつながっておきたいから入る」
「仕事が激務で家にいないから、今は入らない」
「定年退職して時間ができたから、地域貢献のために入る」

こんなふうに、今の自分の状況に合わせて判断すればOKです。

一度入ったら一生抜けられないわけではありませんし、逆もまた然りです。

【本音】元会長としての正直な気持ち

最後に、建前抜きで「元会長」としての本音を少しだけ書きます。

正直に言うと、「無理して入ってもらう必要はない」というのが本音です。

いやいや加入されて、後から「役員は絶対にやりたくない」「掃除も出られない」と主張されると、運営する側としてはかえって大変なのが現実だからです(笑)。

私たち役員もボランティアの素人ですから、トラブル対応は正直しんどいのです。

ただ一方で、「月数百円でご近所トラブルを回避できるなら安い保険」という考え方もあります。

役員やお付き合いは面倒ですが、「お金さえ払っておけば、ゴミ出しや回覧板で文句を言われることはない」と割り切って加入している方も実は多いです。

「地域のために!」なんて大層な志がなくても大丈夫。
「自分にとって一番楽な選択」をしてくれれば、それが一番だと思っています。

まとめ|自治会は「強制」ではないが「つながり」ではある

最後にポイントを振り返りましょう。

  • 自治会は任意加入。 強制はできないし、入らなくても法的には問題ない。
  • ただし「ゴミ出し」や「地域情報」で不便を感じる可能性はある。
  • 判断はライフスタイルに合わせてOK。 無理して入る必要はない。

元会長として思うのは、「入る・入らない」に関わらず、ご近所への挨拶だけは大切にしてほしいということです。

「自治会には入れませんが、何かあったら声かけてくださいね」

その一言があるだけで、地域の空気は随分と柔らかくなります。

あなたの新しい生活が、心地よいものになりますように!

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