あなたはこの度の選挙で、自治会役員に選ばれました!
そう言われて、頭を抱えていませんか?
仕事が忙しい、介護がある、子どもが小さい…。
断りたい理由はいくらでも思いつくのに、なぜか断りきれない。
それ、あなただけではありません。
私は自治会長を2年間、連合会役員も1年間務めました。
つまり、役員を「お願いする側」だった人間です。
正直に言います。
選挙で選ばれた以上、自治会役員をそう簡単には断れません。
今回は、建前ではなく本音の部分をお伝えします。
「どうすれば断れるか」ではなく「なぜ断りにくいのか」を知ったうえで、あなたがどう判断するかの参考にしてもらえればと思います。
最初に伝えたい現実|「丁寧に断れば大丈夫」ではない
ネットで「自治会 役員 断り方」と検索すると、こんなアドバイスが出てきます。
- 感謝を伝えてから断りましょう
- 理由を丁寧に説明しましょう
- 「今は難しい」と伝えましょう
間違いではありません。
でも、これで本当に断れるかというと…正直、難しいです。
自治会側は「断られること」に慣れている
役員をお願いする側は、断られることを想定しています。
というより、最初から「断ってくる人が多い」ことを前提に動いています。
だから、「仕事が忙しくて…」と言われても「みんな同じですよ」と返します。
「子どもが小さいので…」と言われても「お子さんがいる方も頑張ってくれていますよ」と返します。
これは意地悪ではありません。
実際、同じ条件でやっている人がいるからです。
断りを受け入れたら、次の人を探さないといけない
自治会側にも事情があります。
あなたの断りを受け入れたら、また別の人にお願いしに行かないといけません。
その人にも断られたら、また次の人。
役員選びの時期は、この繰り返しです。
だから、よほどの理由がない限り「わかりました」とは言えないんです。
「できる範囲でいいので」「負担は減らしますので」と食い下がるのは、次の候補者を探す労力を避けたいからでもあります。
「もっともらしい理由」はみんな持っている
厳しいことを言いますが、断りたい理由は誰でも持っています。
- 仕事が忙しい
- 親の介護がある
- 子どもの世話で手一杯
- 体調に不安がある
- 人前で話すのが苦手
こうした理由を全部聞き入れていたら、役員を引き受ける人がいなくなってしまいます。
お願いする側も、それをわかっています。
だから「お気持ちはわかりますが…」と続けてしまうんです。
本当に断れる理由|自治会側が引き下がるケース
では、どんな場合なら断れるのか。
私の経験から、自治会側が「それなら仕方ない」と引き下がるケースをお伝えします。
誰が見ても「無理だよね」という状況
正直なところ、これに尽きます。
- シングルで小さい子どもが複数人いる
- 介護が必要な家族がいて、自分がメインで対応している
- 病気の治療中で、診断書も出ている
- すでに他の団体で重要な役職を担っている
こうした状況であれば、自治会側も「それは難しいですね」と納得します。
逆に言えば、「忙しい」「大変」だけでは弱いということです。
周囲から見て「それは無理だよね」と思える事情があるかどうかがポイントになります。
医師の診断など、客観的な証明がある場合
体調を理由にする場合、「診断書がある」「通院している」というレベルだと説得力が増します。
「ちょっと体調が…」だけでは、正直なところ「みんなそう言う」と思われてしまいます。
精神的な不調で通院中、鬱の診断が出ているといった状況であれば、無理にお願いすることはありません。
本人の健康を害してまで引き受けてもらうわけにはいかないからです。
すでに地域で別の役割を担っている場合
子ども会の会長をやっている、PTAの役員をやっている、民生委員をやっている…。
こうした場合は「掛け持ちは難しい」という判断になりやすいです。
ただし、「去年やった」「来年やる予定」は理由としては弱いです。
「今現在、他の役職で手一杯」という状況が必要です。
「できる範囲で」と言われたときの対処法
断ろうとすると、こう言われることが多いです。
「できる範囲でいいですから」
「無理しなくていいですから」
「ボランティアなので、負担は軽くしますから」
この言葉、額面通りに受け取っていいのでしょうか。
本当に「できる範囲」で済むこともある
最近は、役員の負担軽減に取り組んでいる自治会も増えています。
- 会議の回数を減らす
- オンラインで参加できるようにする
- 仕事を分担して一人の負担を軽くする
こうした自治会であれば、本当に「できる範囲」で済むかもしれません。
私が所属していた自治会も、デジタル化を進めた結果、かなり役員の負担が楽になりました。
その結果、忙しい役員をみんなでカバーするということができていたので、できる範囲で済むことはあると思っています。
ただし、「結局やることになる」ケースも多い
一方で、「できる範囲で」と言われて引き受けたものの、結局フル稼働になるケースもあります。
役員になると、どうしても責任感が出てきます。
「自分だけやらないわけにはいかない」と感じて、気づけば負担が増えている…。
これは自治会側が騙しているわけではなく、構造的にそうなりやすいんです。
だから、「できる範囲で」という言葉を信じて引き受けるかどうかは、慎重に判断してほしいと思います。
引き受ける前に確認しておきたいこと
もし「できる範囲で」と言われて迷っているなら、以下を確認してみてください。
- 具体的にどんな仕事があるのか
- 会議や行事は年に何回あるのか
- 欠席した場合、誰かが代わりにやってくれるのか
- 本当に負担が軽い役職なのか、それとも名目だけか
曖昧なまま引き受けると、後から「話が違う」となりかねません。
それでも断りたいなら|伝え方のポイント
ここまで読んで、「それでも断りたい」という方もいると思います。
断ること自体は、決して悪いことではありません。
自治会は任意団体ですし、役員も強制ではありません。
ただ、伝え方によってはご近所との関係に影響することもあります。
以下のポイントを意識してみてください。
「検討したけど難しい」という姿勢を見せる
即答で「無理です」と言うより、「考えたけど難しい」と伝えるほうが印象は良くなります。
「少し考えさせてください」と一度持ち帰り、後日「やはり難しいです」と伝える。
これだけで、「真剣に考えてくれたんだな」という印象になります。
理由は簡潔に、深掘りされない程度に
断る理由は、詳しく説明しすぎないほうがいいです。
「家庭の事情で」
「仕事の都合で」
「体調面で不安があり」
これくらいの説明で十分です。
詳しく話すほど、「でも〇〇さんも同じ状況で…」と返されやすくなります。
感情的にならない
「絶対やりません」
「役員やるくらいなら自治会を辞めます」
こうした言い方は、関係を悪化させます。
気持ちはわかりますが、これから何年もご近所として付き合っていく相手です。
感情的な言葉は避けて、淡々と伝えるほうがお互いのためです。
断った後の付き合い方
役員を断った後、「気まずくなるのでは」と心配する方も多いです。
結論から言うと、普通にしていれば大丈夫です。
挨拶や会話は今まで通りに
断ったからといって、避ける必要はありません。
むしろ、避けるほうが気まずさを生みます。
「おはようございます」「こんにちは」と普通に声をかけていれば、相手も普通に返してくれます。
行事やイベントには顔を出す
役員は無理でも、お祭りや清掃活動には参加してみてください。
「役員は断ったけど、地域のことは大切にしている」という姿勢が伝わります。
次に頼まれたときのことも考えておく
役員のお願いは、数年後にまた来る可能性があります。
そのとき、状況が変わっていれば引き受けることを検討してもいいかもしれません。
もちろん、また断っても大丈夫です。
大切なのは、そのときの状況で判断することです。
お願いする側の本音も知っておいてほしい
最後に、お願いする側の本音をお伝えさせてください。
頼む側も「嫌われ役」でつらい
役員をお願いしに行く人も、好きでやっているわけではありません。
「断られるかもしれない」
「嫌な顔をされるかもしれない」
そんな不安を抱えながら、勇気を出して声をかけています。
誰かがやらないと、地域が回らない
自治会の活動は、誰かがやらないと止まってしまいます。
ゴミ収集所の管理、防犯灯の維持、災害時の連絡網…。
「やって当たり前」と思われがちですが、すべて誰かが担当しているから成り立っています。
役員ができなくても、そのことだけは心の片隅に置いておいてもらえると嬉しいです。
本当に無理な人に押し付けたいわけではない
私たちも、本当に無理な人に押し付けたいわけではありません。
ただ、「無理」の線引きが難しいんです。
みんなが「無理」と言ったら、誰もやる人がいなくなってしまう。
だから、ある程度は「なんとかお願いできませんか」と食い下がってしまう。
それが自治会側の事情です。
まとめ|断るかどうかは、あなた自身の判断
今回は、自治会役員の断り方について、本音ベースでお伝えしました。
正直なところをまとめます。
- 「丁寧に断れば大丈夫」というほど甘くはない
- 誰が見ても「無理だよね」という事情がないと、断るのは難しい
- 「できる範囲で」と言われても、結局負担が増えることもある
- それでも断りたいなら、感情的にならず淡々と伝える
最終的に引き受けるかどうかは、あなた自身の判断です。
「本当に無理」なら断っていいと思います。
「なんとかなるかも」と思うなら、引き受けてみるのも一つの選択です。
どちらを選んでも、ご近所との関係が壊れることはありません。
普通に挨拶して、普通に暮らしていけば大丈夫です。
この記事が、あなたの判断の参考になれば嬉しいです。